「私が6年間使ったランドセルを、アフガニスタンの女の子が背負って学校に通うと思うと、温かい気持ちになりました」。中学生らが弁論を競う今年の少年の主張島根県大会の動画審査が先月行われ、最優秀の県知事賞を受賞した安来市立伯太中学校1年、栂瀬真心さんは、紛争とテロに苦しむ国にランドセルを送る思いやりを訴えた▼内戦が繰り返されるアフガニスタンでは、宗教上などの理由で男性に比べ女性の教育機会は少ない。小学校に通う女子は2人に1人。家の手伝いをしながら、早く結婚することを求められる。女性に教育は不要と言わんばかりだ▼そうした実情を勉強する中で、日本からアフガニスタンにランドセルを寄付する国際支援活動を知った。日本中から集まった友情のかばんは、海を渡ってパキスタンまで送られた後、トラックで現地に届けられる▼日本では出番を終えた「お古」でも現地では貴重品。気持ち良く使ってもらえるよう学習用具を大切にしながら、支援活動が日本中の子どもたちに広がってほしい、と願う▼花の刺しゅうをあしらった栂瀬さんの赤いランドセル。6年間の思い出がいっぱい詰まっている。その思い出を、厳しい環境の中で背負ってくれる子どもたちを想像すると、込み上げてくるものがあるという。米軍が撤退した後、混乱が続くアフガニスタン。ランドセルが平和を運んでくれますように。(前)