衆院選公示後初の週末を迎えた23日、山陰両県4小選挙区の立候補者計10人は、新型コロナウイルス禍で有権者と直接会える機会が減る中、接点を求めて走り回った。短時間で街頭演説を繰り返す候補や、街頭に立たず広範囲の地域を遊説カーで回る候補などそれぞれの戦術で支持を訴えた。 (取材班)
休日で外出した有権者が街頭で訴えを聞きやすい環境にあり、マイクを握る回数を増やす候補が目立った。
最も多く街頭演説をしたのは鳥取2区の立憲民主党元職で20回。4年前の前回選の約2倍に上った。コロナの影響で屋内に人を集めた個人演説会ができにくいためで「多くの人に聞いてもらいたい」と米子市周辺部を回り、農業や子育て政策を訴えた。
島根1区の自民党前職も雲南市と奥出雲町で1日では最多の計15カ所に立った。奥出雲町内は訴えを5分程度に抑えて回数を重ね、計13カ所でJR木次線の維持をアピール。案内役を務めた県議は「コロナが落ち着いているので接する機会をつくりたかった」と話した。
▽顔を売る好機
知名度が不足する新人にとっては顔を売る好機になる。
3人の候補がいずれも新人の島根2区では、共産党の候補が県西部の3市3町で買い物客が多いスーパーや道の駅で演説を打ち、立憲民主党の候補も人出が多い出雲市を遊説し、予定にない街頭演説も実施。自民党候補は県西部の3市で計13カ所の街頭に立ち、浜田市の商店街では、約100人の聴衆が集まった。
島根1区の無所属新人も松江市内で初めての個人演説会を開き、女性の政治参画の必要性を訴えた。
▽山間、周辺部へ
山間部や周辺部での訴えに力を入れる候補も。
島根1区では、立憲民主党前職が奥出雲町や雲南市に入った。期間中、大票田の松江市中心部以外は多く入ることができないため、日中に人がいる時間帯を狙って集中的に回り、自民党候補と競り合うようにJR木次線の存続問題を取り上げた。
鳥取1区では、候補が不在だった自民党前職の陣営は妻や県議が若桜、八頭両町を回り、共産党新人は鳥取市周辺部の佐治、用瀬両町や出身地・岩美町で訴えた。
多くの候補が街頭で訴えるのと対照的に、街頭演説はせず、湯梨浜、北栄、琴浦の3町で遊説カーを走らせたのは、鳥取2区の自民党前職。短期決戦で公示前に入ることができなかった地域で、車内から名前を連呼して存在感を示すことに時間を割き、夜は個人演説会で農業政策を訴えた。
山陰4選挙区立候補者(届け出順、敬称略)
◆島根1区
亀井亜紀子56 党副幹事長 立民前(1)
細田 博之77 元官房長官 自民前(10)
亀井 彰子64 元中学教諭 無所属新
◆島根2区
向瀬 慎一50 党地区委員長 共産新
山本 誉64 元島根県議 立民新
高見 康裕41 元島根県議 自民新
◆鳥取1区
石破 茂64 元党幹事長 自民前(11)
岡田 正和39 党県常任委員 共産新
◆鳥取2区
赤沢 亮正60 元内閣副大臣 自民前(5)
湯原 俊二58 党県連副代表 立民元(1)