「結婚して初めて、それまで味わえなかった心の安らぎを得られたと思います」。37年前、今の上皇さまは銀婚式前の会見で、自らの家庭を築いた25年を、こう振り返られた。上皇さまが子どもの頃は一般家庭と違い、乳母役の「乳人(めのと)」や、幼児期の面倒を見る保育官などが育てるしきたりだったからだろう▼この制度は今の天皇陛下が誕生された1960年に廃止された。当時は批判があったが「皇室の慣習も社会の動きに従って変わる」と押し通されたという▼秋篠宮家の長女眞子さま(30)が昨日、大学の同級生小室圭さん(30)と結婚。皇室を離れ民間人「小室眞子さん」として2人で記者会見し「結婚は必要な選択」「2人で力を合わせて共に歩いていきたい」などと今の心境を話した。小室家の金銭トラブルを巡る報道などで国民の賛否が交錯。この日の会見を含め異例ずくめの形式になったが、その分、幸せになってもらいたい▼上皇さまの学友の元記者、故橋本明さんの著書『美智子さまの恋文』によると、上皇后さまが懐妊中に書かれたとされる文章には「辛(つら)いことでございますが、支持されて初めて私たちの幸福感は社会的なものになる」との記述があった。それから既に60年以上たつ▼象徴的な存在として国民が期待する「理想像」が、女性皇族の生き方を縛っているとすれば、時代とともに見直す寛容さも必要なのかもしれない。(己)