島根原発2号機の早期再稼働を求める陳情の採択に賛成する委員たち=松江市末次町、市役所
島根原発2号機の早期再稼働を求める陳情の採択に賛成する委員たち=松江市末次町、市役所

 中国電力が2023年度以降の再稼働を目指す島根原発2号機(松江市鹿島町片句)を巡り、松江市議会の島根原子力発電対策特別委員会(森脇勇人委員長、9人)が16日、地元の経済団体が提出した早期の再稼働を求める陳情8件を賛成多数で採択した。21日の本会議でも採択される見通しで、立地市の議会が再稼働を容認する流れとなった。
      (片山大輔)

 9月に中電が立地自治体の島根県と松江市に再稼働の事前了解(同意)を申し入れて以降、議会の方向性が明らかになるのは初めて。21日は本会議で委員長報告に続き、質疑と討論を経て、各議員が改めて陳情を採決する。立脇通也議長は「採決結果は市議会としての再稼働の是非判断となる」との認識を示した。

 特別委は自民党系の6人、立憲民主・国民民主両党系、公明党、共産党の各1人の議員で構成。採決は委員長を除く8人の挙手で行われ、共産党の1人を除く7人が、松江商工会議所などが提出した再稼働を求める陳情8件に賛成した。市民団体・さよなら島根原発ネットワークなどが出した再稼働に反対する陳情21件は全て不採択とした。

 審議では、環境負荷の低減や安価で安定的な電力供給につながると主張した再稼働を求める陳情に対し、複数の委員から「整合性があり合理的だ」「現時点で最大限の安全は確保されている」といった声が上がった。

 一方、事故リスクや避難計画の不備、中電の度重なる不祥事などを指摘した上で再稼働に反対する陳情はいずれも賛成1人だった。

 上定昭仁市長は市議会や市原子力発電所環境安全対策協議会(安対協)などの意見を踏まえて再稼働の可否を判断すると表明している。