きょうは二十四節気の一つ「大寒」。2月4日の立春まで一年で最も寒い時期とされる。寒いのは苦手だが、エネルギーを秘めたような朝の空気感は身が引き締まり、土の中でじっと春を待つ虫たちのような心持ちになる▼中国の文献を編集して朝廷に献上された日本最古の医学全書『医心方』(984年)によれば「この季節は夜は早く寝て、朝は必ず太陽が昇って日が射(さ)してから起きること。志はじっと深く内に秘め、自分なりの考えを持つようにし、徳があるように振る舞う」。これが冬という季節の気に応じた養生法という▼万物が息づき、気が満ちる春を待つのが生き物の道理であれば、年明けからのオミクロン株の猛威で内にこもることは理にかなうのだろうか。上手にこもらなければ、春まで気も身も持たない人がいるだろう▼内科や外科、美容や性愛まで網羅し、全30巻で構成する医心方の養生編総論は「養生は習慣にしなければ効果はない。天性がおのずから自他に対して善であれば、あらゆる病気にかからず、禍乱災害も起こりようがない」と説く▼この時代に千年前の医書は一笑に付されるかもしれない。多くの人は、3回目のワクチン接種や新薬の開発、普及を首を長くして待つ。薬は人と社会を救うが、医心方は第1巻でみだりに薬に頼ることを禁じ、病気にならぬ先の養生を勧める。まずは自分の生活を見直す冬にしたい。(衣)