昨年12月11日付の本紙国際面に、小さな記事が載った。日本が顔色をうかがう核保有国・米国のお膝元、ニューヨーク市議会が、米政府に対し、核兵器禁止条約への参加を求める決議案を賛成多数で採択したという▼5年前にノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の「都市アピール」の一環で、既に500を超える都市が賛同を表明しているそうだ▼核兵器禁止条約の発効からきょうで1年。3月には第1回の締約国会議が開催される予定だ。「唯一の被爆国」でありながら米国の「核の傘」に頼る日本は、条約には署名せず、会議へのオブザーバー参加も「参加すると肝心な信頼関係を損ねる」(岸田文雄首相)と消極的な姿勢を崩さない▼首相は、北朝鮮による日本人拉致問題では「あらゆるチャンスを逃さず」と強調。敵基地攻撃能力の検討も「あらゆる選択肢を排除せず」と積極姿勢を示した。それに比べ、あまりにも及び腰に映る。被爆地・広島出身の首相がせっかく誕生したのにもかかわらずだ▼英国在住の作家・緑ゆうこさんはかつて、「平和を願う被爆国」というイメージは「残念ながら日本人の頭の中にしか存在しない」と、海外では一般の人には浸透していない現実を指摘していた。締約国会議へのオブザーバー参加を見合わせれば、日本に対する見方を変える絶好の機会をまた逃すことになる。(己)