中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)2号機の再稼働と3号機の新規稼働の是非を問う住民投票条例案を審議する境港市議会の臨時会が10日、開会した。伊達憲太郎市長が実施に反対する意見を付けて条例案を提出し、条例制定を直接請求した市民団体のメンバー3人が意見陳述した。条例案は17日に採決される。
(松本稔史)
意見陳述したのは、住民投票に賛同する市民3143人分の署名を集めた住民団体「境港の未来を考える会」の黒目伸一郎会長、中島ちから副会長、足田芳憲事務局長の3人。団体が実施した意識調査の結果や、署名活動中に寄せられた市民の声を紹介し、計45分の持ち時間で住民投票の実施を訴えた。
黒目会長は、市が2007年に施行した「境港市みんなでまちづくり条例」に住民自治や住民投票の重要性が記されていることを紹介。03年に米子市との合併ではなく単独市制を選んだ際に住民投票が行われた実績もあるとして「住民投票の結果に法的な拘束力があるわけではない。市と議会が政治的な判断を行う際に、市民の考えとして捉えてほしい」と実施を求めた。
市民の声を聞く機会を設けるよう要望した足田事務局長は「原発の稼働は結論を簡単に出せる問題ではない。意見が違う人が互いに話し合い、一致点を見いだすことが大切だ」と強調。中島副会長も「将来を背負う子どもたちのために、選挙権がある大人たちが決断しなければならない。その時は今しかない」と訴えた。
これに対し、伊達市長は本会議の冒頭、島根原発の稼働について反対、中立、賛成の立場からさまざまな意見や疑義が出ていると指摘。「これらの意見をもとに市民の代表で構成される市議会で討論いただき、対応することが最善である」と、実施に反対する意見を表明した。
市民団体の3人は、臨時会最終日の17日も参考人として質疑に応じ、その後、討論、採決がある。