出雲市議会が14日、中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の再稼働を条件付きで容認することを飯塚俊之市長に報告した。安定的で安価な電力供給や地球温暖化対策につながる点を考慮し、立地自治体並みの安全協定の締結を引き続き求めるといった取り組みを前提とした上で、再稼働を認めた。原発30キロ圏内の周辺自治体の議会が再稼働の是非を判断するのは初めて。
報告を受けた飯塚市長は「市議会の意見は非常に重い。真摯(しんし)に受け止める」と返答。17日に開会し、3月25日に閉会する定例市議会の会期中に自身の意見を表明する。
報告書は、総務委員会と資源政策推進特別委員会の連合審査会が原案を作成。国や中電から説明を受けて調査・検討を重ねた結果、多くの議員が再稼働を容認する意見だったと記載した。一方、ひとたび事故が起きれば原発が制御不能になるのは明らかで、容認できないとする一部議員の主張も盛り込んだ。
容認の前提となる4項目は、安全性の追求と原発事業者としての資質が問われる不適切事案の再発防止の徹底▽避難対策の徹底▽高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分に関する国、中電への要請▽事前了解権を含む立地自治体並みの安全協定の締結に向けた要求ーを列挙。内容に対する採決はしなかった。
市内では、再稼働の是非を問う住民投票の実施を求める市民団体が3月に条例制定を市長に直接請求する予定で、報告に先立つ市議会全員協議会では「結論を出すのは時期尚早」との意見が出たが、定例市議会前の報告を支持する議員が多数を占めた。
終了後、取材に応じた萬代輝正議長は「住民投票条例案や請願、陳情の審議にはきちんと対応していきたい」と強調。市民団体の有田周二事務局長は「性急な結論であり、配慮してほしかった。直接請求した後に、議会の場で発言し、住民投票の実現に理解を得たい」と話した。
(松本直也)