<前回のあらすじ>新型コロナウイルスの感染が拡大し、交流会をオンライン開催に変更した。
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この記事が載る頃には、残り2週間を切る。交流会は3月5日。文字にすると、焦りからか手のひらが汗ばんできた。
交流会の目的は、鳥取県東部を中心に根付く麒麟(きりん)獅子舞と島根県西部で盛んな石見神楽という伝統芸能の担い手が、考え方や悩みを共有して今後の活動のヒントを得ること。実りある会にするには相手に何を聞きたいかをとりまとめて事前に伝え、回答を考えてもらっておく方が良いだろう。
●質問を出し合う
2月5日夜、鳥取市内であった「因幡麒麟獅子舞の会」の会合に顔を出し、石見神楽側への質問を出し合った。
金谷堅太郎事務局長(49)は「神事と(娯楽的な)芸能とのすみ分けをどう思って活動しているのか気になる」とつぶやいた。麒麟獅子舞は神社に奉納する神事で、他の地域で舞ってはいけないという考え方も根強く残る。「石見神楽が今の形になるまでにどのような経過をたどったのか分かると参考になりそうだ」と期待した。
他のメンバーからは「神事とイベントで演出に違いはあるか」「どのように後継者を育成しているのか」と思い思いの疑問が出た。
交流相手の浜田石見神楽社中連絡協議会には1月11日にヒアリング。そこでも観光資源としての活用や後継者育成の考え方を問う声が目立った。小川徹幹事(52)は「他の地域の人でも入れる団体はどれくらいあるのか。石見神楽は受け入れる素地がある団体が多い」と伝統を継承する団体の運営に関心を寄せた。
●準備は大詰め
聞き取り結果をまとめると、活用と後継者育成が主なテーマになりそうだ。伝統の継承には担い手が必要。担い手の確保には、多くの人に魅力を伝える機会が重要で、活用と後継者の問題は切り離せない。やはり最も気になることだろう。
会場や機材のめども立った。振り返れば、昨年から続くこのプロジェクトの第1回掲載は8月末。企画書は5月に書いた。人脈もノウハウもほとんどないところから準備を進め、ようやく開催が見えてきた。果たして順調に本番を終えられるのか。不安だ。
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麒麟獅子舞編第12回は3月13日に掲載。交流会の様子を紹介します。