15年くらい前だったと思う。健康と環境配慮型の生活を志向するライフスタイル「ロハス」が注目された頃、「サステイナブル」(持続可能)という言葉がよく使われた。環境や資源問題を論じる際のキーワードで、今のSDGs(持続可能な開発目標)と似たような感じだった▼少子高齢化と人口減少が続く日本では、この持続可能性が一番のポイントのはずなのに、政治に長期的な視点がないのが気掛かりだ。明るくない未来は見たくないし、それでは票にならないからだろうか▼国立社会保障・人口問題研究所が参考として公表している2066~2115年の推計によると今世紀末、つまり78年後の日本の人口は出生、死亡とも中位で推移した場合でも約6千万人に半減。高齢化率は38%台。15~64歳の人口は6割減の約3千万人になる▼そんな未来が来るのなら、発想を変えた施策が必要になる。近隣国の脅威を理由に防衛力の強化が進む安全保障も例外ではない。生産年齢人口の6割減が見込まれる中で将来、装備をどう維持・更新していくか。さらに要員をどう確保していくかも課題だ▼国民負担を増やしたり、社会保障費を削ったりすることはできても、要員として外国人を頼むことはできまい。このまま防衛力の強化一辺倒で進んでいいのかどうか。勇ましさを演出するのではなく、22世紀を見据えた安全保障の在り方を考えてほしい。(己)