築70年以上の民家を改修した、松江市鹿島町佐陀本郷のレンタルスペース「あいえんきえん」が、どこか懐かしい風情を楽しめる空間として、地区住民を中心に人気を集めている。
この家で生まれ育った鎌瀬幾美さん(61)=松江市西持田町=が、仏教用語で「人との結びつき」を指す「合縁奇縁」から名を取り、2020年11月に始めた。
レンタルするのは、母屋と築50年の平屋の離れ、2階建て納屋の大部分。母屋1階と離れはともに二間続きの和室で、縁側がある日本家屋。納屋1階は土間で広く、陶芸などのワークショップに使える。
13年前に母が他界してから同家で1人暮らす父(89)は、設備の大部分を持て余していた。「使わないと古くなるだけ」と、4年前から片付けと改装を続け、準備を進めた。飲食店営業(一般食堂)の許可を得たほか、経営塾に通い運営の知識を身につけた。
内装で重要視したのは、新旧の折衷。実家のたたずまいを生かしつつ、デザイン性のある照明や出雲和紙を使った障子を用い、しつらえに工夫を凝らした。
オープンから1年余り。利用は町内会の集まりや福祉施設の遠足、テレワークなど多岐にわたる。鎌瀬さんもヨガ教室、ウクレレ教室を定期的に開き、月数回カフェを開く。
ヨガ教室で講師を務める近くの鳥本照代さん(60)は「雰囲気がよく、訪れるだけで気持ちが落ち着く」と喜ぶ。
鎌瀬さんは「地域のみなさんに使ってもらえるのは本当にうれしい」と話す。
問い合わせやイベントは公式LINEから。
(広木優弥)