きょう2月28日は「バカヤローの日」らしい。時の首相・吉田茂が衆院予算委員会での質問に興奮して、「バカヤロー」と発言したのが、1953年のきょうのこと。それがもとで内閣不信任案が可決され、衆院も解散。世に言う「バカヤロー解散」である▼実は吉田は大声で叫んだわけではなく、着席したまま小声でつぶやいただけだったとされる。それをマスコミが大きく報道したことで解散へ至った。いずれにせよ「口は災いのもと」だろう▼戦後の占領下で5度も首相に指名された吉田には数々の逸話が残る。その一つが戦後の日本を占領・管理した連合国軍総司令部(GHQ)のマッカーサー元帥とのやりとりだ▼吉田は政府の統計を基に食糧支援を求めたが、マッカーサーに統計のいいかげんさを指摘され、こう返したという。「日本の統計が正確なら戦争なんかしなかったし、戦ったとしても日本が勝っていたはずだ」。それを聞いたマッカーサーは大笑いしたらしい▼それから70年たったものの、日本の統計はいいかげんなままのようだ。2018年末に発覚した厚生労働省の毎月勤労統計不正問題の再発防止策として、政府が21年度から各府省に専門家を派遣し、作成過程を監督すると閣議決定されていたのに、実施されていないことが発覚した。相も変わらぬ統計業務への意識の低さ。吉田が生きていたら「バカヤロー」と叫ぶだろう。(健)