雲南市立西小学校(雲南市大東町仁和寺)の校庭にある人工巣塔で、今年も国の特別天然記念物のコウノトリが産卵した。日常的に観察を続けている児童の報告により市教育委員会も把握。校舎3階には観察用のカメラがあり、日頃から子どもたちが気を配っているからこそ、親鳥2羽の変化に気付いたのだろう▼6年生が卒業前の2月に本紙『元気はつらつ新聞』にコウノトリに関する記事を寄せた。「目の周りが赤い」「くちばしが黒い」といった特徴や、餌となる生き物をイラストで紹介。観察力の鋭さに感服する▼良い面だけでなく、大東町で生まれ、2017年に鳥取市内で発泡ゴムを食べて死んだ「げんちゃん」の事例を提示。ごみのポイ捨ては「絶対にいけない」と、人とコウノトリが共存できる環境づくりの大切さを読者に示した▼雲南市は、トキの繁殖に取り組む出雲市などと一緒にコウノトリとトキが共生できる地域の実現を目指し、活動計画を策定。西小はげんちゃんの悲劇を踏まえ、環境整備の重要性に着目しており、共生の「先輩」として学ぶべきことは多い▼市教委はふ化は4月中旬、巣立ちは6月下旬ごろとみる。校庭で遊ぶ子どもたちを見守るようにコウノトリが巣に帰ってくる。環境問題を身近に感じられる学校生活は、地域を大切に思う感性を育み、将来の地域づくりを担う若者の成長に大きな影響を与えている。(目)