島根県議会が13日、中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の再稼働を容認した。議長を除く全議員で構成する同日の島根原子力発電所対策特別委員会(中村芳信委員長)が再稼働の可否を採決し、賛成が過半数を占めた。この結果を5月26日開会の県議会で報告、採決し、正式決定する。立地自治体の松江市と周辺自治体の同意もすべて出そろっており、残る丸山達也知事の最終判断は、早ければ県議会での採決後の5月下旬にも出る見込みだ。
33人で構成する委員会で、中村委員長と欠席1人を除く31人で採決した。最大会派・自民党議員連盟13人、県議会自民党8人、民主県民クラブ2人、公明党県議団2人、無会派1人の計26人が賛成。反対は民主県民クラブ3人、共産党県議団2人の計5人だった。
採決に先立つ討論では10人が発言。賛成側6人は、風力、水力などの再生可能エネルギーに比べて原発の発電コストが安く、昼夜や気候を問わず安定して電力を供給できる「ベースロード電源」の役割を果たすと主張。脱炭素社会の実現や雇用面で地域の経済活性化につながるとした。
反対側4人は、原発稼働によって出る使用済み核燃料の処分方法が確立されていないことを指摘。中電が過去にデータ改ざんや点検漏れ、虚偽報告などの不祥事を繰り返したことから、事業者としての適格性を問う声も上がった。
中村委員長は採決に加わらなかったが終了後、自身は再稼働に賛成すると話した。このほか、再稼働に賛成する請願、陳情計5件を採択、反対する同7件を不採択とした。今後は原子力規制委員会による厳格な審査の実施や、核燃料サイクルの確立を求めることを盛り込んだ委員長報告をまとめ、5月の県議会に諮る。
丸山知事は採決結果を受け「関係自治体や特別委の委員長報告を基に決定される県議会の意見を踏まえ、総合的に判断していく」とコメントを出した。
(白築昂)