新型コロナウイルスワクチンを受ける子ども(右)=松江市東朝日町、くらたこどもクリニック
新型コロナウイルスワクチンを受ける子ども(右)=松江市東朝日町、くらたこどもクリニック

 5~11歳を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種が3月から山陰両県で始まった。ワクチン接種後、子どもの副反応にはどんな特徴があり、熱や痛みといった副反応が出た場合、市販の解熱剤を使用しても良いのか。使用する場合、注意すべきことは何か。さまざまな疑問や不安について、島根県立中央病院(出雲市姫原4丁目)感染症科部長の中村嗣(つかさ)医師(58)に聞いた。(Sデジ編集部・宍道香穂)

▷子どものワクチン副反応、特徴は?
 子どもが新型コロナワクチンを接種する際、副反応の強さや症状はどうなるのか。大人との違いはあるのだろうか。中村医師によると「症状に違いはない」とのこと。大人、子どもに限らず、体質や体調によって副反応の強さはさまざまで、ほとんど副反応が出ない人もいれば、痛みや発熱といった症状が出る人もいるという。

島根県立中央病院の中村嗣医師

 中村医師は「子どもは大人と比べて、症状に気づいていなかったり、不調を感じていても我慢してしまったりする。過敏になりすぎる必要はないが、注意して様子を観察すると良い」とアドバイスした。普段と比べてぐったりしている、だるそうにしているといった様子であれば、副反応による症状かもしれない。症状は大人と同じで、接種箇所の痛みや発熱、倦怠感など。副反応への対処としては、風邪をひいた場合と同じように、休息する、脱水症状に備えてこまめに水分補給するといったことを心掛けたい。

▷子どもに市販の解熱剤は使える?
 子どもにワクチンの副反応が出た場合、大人と同じように市販の解熱鎮痛剤を使用しても問題はないのだろうか。中村医師は「大人と同じく、基本的に問題はない」とした。特定の薬へのアレルギーなど体質的に問題がある場合は、かかりつけ医や薬剤師に相談してから薬を購入し、使用すると良いとのこと。

 解熱鎮痛剤を服用する場合は、実際に発熱や痛みなど症状が出てから飲むと良い。解熱鎮痛剤は予防薬ではなく、症状を和らげるための薬。症状が出る前に飲んでも発熱や痛みを予防できるわけではなく、飲むタイミングが早いとその分、効果が切れるのも早くなってしまう。

 薬の成分についてはどうか。大人の場合は日頃飲み慣れているものか、胃への負担が少ない「アセトアミノフェン」が主成分のものを選ぶよう勧めているという。子どもの場合はどうか。

市販の解熱鎮痛剤を使用する際は、パッケージ裏などに記載されている成分表示を参考にしよう

 中村医師はまず「子どもに解熱鎮痛剤を服用させる場合は、大人と同じ薬ではなく、子ども用として販売されているものを選ぶと良い」とし、「子どもが服用する場合も、アセトアミノフェンがお薦め」と話した。大人の場合は日頃から解熱鎮痛剤を飲み慣れている人も多いが、多くの子どもにとって、解熱鎮痛剤はなじみが薄い薬と考えられる。

 解熱鎮痛剤の主成分にはイブプロフェン、ロキソニンなどがあるが、パッケージなどに記載されている成分表示を参考に、「アセトアミノフェン」が主成分の薬を選ぶと良い。子どもが風邪をひいた時に処方された解熱剤が残っていれば、それを飲むのも良いという。

▷子どもには小児用の解熱鎮痛剤を
 子どもに解熱鎮痛剤を服用させる際の注意点として中村医師は「大人用の薬を飲ませるのは避け、小児用の解熱鎮痛剤を準備すると良い」と強調した。

子どもの解熱鎮痛剤服用について話す中村医師

 適切な成分や用量は年齢によって異なり、大人用の薬をそのまま子どもに飲ませるとトラブルを引き起こす可能性がある。例えば、鎮痛剤の成分の一種「アスピリン」は、子どもに使用すると、発作やぜんそく、アレルギー反応を引き起こす恐れがあるという。近年は、アスピリンが主成分の解熱鎮痛剤はほとんど市販されていないが、同じ商品名でも、主成分がアスピリン、アセトアミノフェンの2種類に分かれているケースがあるという。市販薬を購入する際は、成分表示をしっかりと確認したい。

 また、大人用の薬を子どもに飲ませようとしても、適切な量を判断しにくい。中村医師は「薬の用量は単に体重比で決まっているわけではない。薬の種類によっても適切な用量が異なるため、大人用の薬を半分に割って子どもに飲ませるといった方法はお薦めしない」と話す。中村医師は「子ども用の薬は、子どもが飲みやすいよう、適切な成分、用量で配合されている。自己判断で飲ませるのではなく、あらかじめ小児用に作られた薬を服用させるのが安心」と呼び掛けた。

 アレルギー反応の一種で、息苦しさやじんましんなどの症状が出る「アナフィラキシー」については、大人の場合と同じで、接種後15~30分程度の経過観察をし、症状が出た場合は接種会場で待機している医師や看護師が対処するとした。

 新型コロナワクチン接種をする医師(左)=松江市内

 これまでは飲食店での感染拡大が主流だったが、最近の感染状況としては、学校での感染が増え、子どもから家族へ感染する家庭内感染も多い。中村医師は、感染拡大を抑える、重症化を防ぐといった観点から、可能な範囲で子どもにもワクチン接種を勧める。
 ワクチンの効果などを理解した上で、接種させるかどうかを判断し、接種させる場合は、副反応の特徴や、解熱鎮痛剤を使用する場合の注意点をしっかりと把握して備えたい。