立候補者の訴えに耳を傾ける有権者=松江市上乃木3丁目
立候補者の訴えに耳を傾ける有権者=松江市上乃木3丁目

上定氏・組織生かし支持固め
吉儀氏・反原発票獲得に注力
出川氏・浮動票で巻き返しへ

 三つどもえの戦いとなった松江市長選が、18日の投開票に向けて終盤戦に入った。組織力で優位に立つ無所属新人の上定昭仁候補(48)=自民、公明、国民民主推薦=が支持固めを進め、無所属新人の出川桃子候補(43)が女性票や浮動票の取り込みで巻き返す。共産党新人の吉儀敬子候補(70)は反原発票の獲得に力を注ぐ。(片山大輔、佐々木一全、中村成美)

 産学官金連携による経済活性化や子育て支援の充実などを主張する上定候補は、連合島根や市農政会議を含む140団体から推薦を得て、第一声に850人、2日目に16カ所の街頭演説で計1370人を集めた。告示後の聴衆数は他候補を圧倒する。

 だがこの日、動員をかけなかった松江テルサ前の演説に足を止めたのはわずか1人。幅広い市民に浸透できているとは言い難く、選対本部の比良幸男幹事長は「組織数が多い分、緩みが一番怖い」と警戒。最終盤は買い物客へのアピール機会を増やし、陣営は電話作戦で組織を引き締める。

 市役所本庁舎の建て替え事業の見直しを公約に掲げ、市民の意見が反映される市政の実現を訴える出川候補は、演説の様子を会員制交流サイト(SNS)や動画投稿サイトなどで連日発信。第一声の動画再生回数は5千回近くに達し、陣営は一定の反響に手応えをつかむ。

 さらに、主張に賛同する市民有志や子育て中の女性の人脈を生かして支持の輪を広げる戦術をとるが、手探り感は否めず、選対本部長の川上大県議は「反応の良さが票にどう結び付くか全く分からない」と分析。13日からは毎日のように個人演説会を開き、政策の訴えを強化する。

 中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の再稼働反対を旗印にする吉儀候補は、原子力規制委員会による島根2号機の審査が終盤に差し掛かる中、幅広い有権者の支持が得られるとみて、告示後の3日間で市内を一巡した。

 しかし、1日15カ所程度の街頭演説を重ねるものの、どこも聴衆はまばら。「原発に対する関心は高まっている」と強調する共産党県委員会副委員長の尾村利成県議は、政府が東京電力福島第1原発の処理水を海洋放出する方針を決めたことで風向きが変わる可能性があるとみて、1カ所の演説時間を短縮し、選挙カーからの訴えに力を注ぐ。

 3人の新人候補を支えるそれぞれの陣営は、新人が相次いで立候補した市議選の状況も加味して、投票率は過去最低だった前回選の57・66%を上回ると予想。60%台前半で、約10万票を奪い合う戦いと見ている。