孫娘が昨年まで通っていた北欧フィンランドの保育園では誕生日会の日には、主役の子は特別の椅子に座らせてもらえたそうだ。椅子の色は青と赤の2種類。男の子も女の子も自分が好きな方の色を選べたという。給食で使うコップの色も同様で、孫娘は好きな青を選んだらしい▼今月から小学校に通い始めた新1年生たちのランドセルの色は、誰がどう選んだのだろうか。自分がもし買う立場だったら、性別に関係なく好きな色を選ばせることができたのかと思う▼昭和育ちのせいもあるが、昔ながらの「男の子だから」「女の子だから」という意識から、まだ抜け出せていないようだ。そういう日常の一つ一つの場面が積み重なって「マチズモ」と呼ばれる男性優位主義の社会をつくっているのだろう▼料理研究家の故小林カツ代さんは著書の中で、若い女性が料理で失敗をする姿を面白がるテレビ番組を例に「なぜ男の子には同じことをさせてみないの」と憤っていた。そんな感覚が根強く残るためか、小林さんは「家庭料理」という言葉の裏にも「ねちっ、どろっとしたものを感じる」と▼政治の分野で女性の進出が話題になるフィンランドと、女性議員の比率が世界で低位に沈んだままの日本。その違いは社会や意識の隅々にこびり付いた「マチズモ」のせいかもしれない。孫娘がランドセルを買う年齢になったら、好きな色を選ばせよう。(己)