「擁立できて良かった。よく決断していただいた。大変ありがたく思う」。今夏の参院選鳥取・島根合区選挙区で立憲民主党が公認候補を決めた5日、西村智奈美幹事長の記者会見での言葉には安堵(あんど)感がにじんだ。2019年の前回選で擁立できなかっただけに、なおさらだった▼自民党現職の公認や共産党新人の擁立発表も2月末以降に相次ぎ、ようやく主要政党の候補が出そろった。ただ、過去2回の合区選挙で1月までに各党が候補を発表したのと比べると2カ月遅く、今回は「短期決戦」の様相が強い▼各党の地元組織が昨年10月の衆院選後に動き出したのが背景にあり、合区による調整に時間も要した。ある政党関係者は「近年の選挙は早く決めても中だるみがある。これから露出を増やし一気に盛り上げる」と選挙戦略としての意味合いを語った▼解散がある衆院と違い、参院は3年ごとに半数が改選するためあらかじめ準備ができるはずで、短期決戦への違和感は拭えない。新型コロナウイルスの感染拡大にも配慮が必要で有権者との距離を一気に縮めにくく、地道な活動も求められる▼夏の一大決戦は、人口減少対策や合区解消問題など論戦を深めるテーマが山積する。公示日との見方が強い6月22日まで、きょうでちょうど2カ月。各候補が前哨戦を含めできる限り多くの人と会い、考えを浸透させなければ政治への関心はまた薄れる。(吏)