朝起きるとまず濃い煎茶を飲む。もう何十年も続く習慣だ。コーヒーも日常、よく飲むが、起きがけの一杯は煎茶でないと調子が出ない。体にいいのか悪いのか、分からないのだが▼「松江は京都、金沢と並び日本三大菓子、茶どころとして知られています」-。インターネットで見る松江観光協会の「松江めぐり」のページには、松江市のお茶、お菓子の消費量なり消費金額なりが全国でも上位だと感じさせる文章が載っている▼総務省家計調査によると、2020年の和菓子は年間1世帯当たり1万190円の支出で全国8位だが、緑茶は19~21年の平均値で消費金額が3279円と全国30位、数量だと730グラムで34位だ。お茶どころと言えなくなっている▼市内のお茶屋さんで聞いてみた。かつて全国上位だった松江市のお茶の消費量だが、14年を最後にベスト5から陥落。以後、順位は下がる一方だと。高齢化が進み、お茶を飲む量も減った。団塊の世代を境に若い世代にお茶を飲む習慣がなくなってきているのが原因らしい▼市は松江松平藩7代藩主・松平治郷(はるさと)(号・不昧(ふまい))の命日である4月24日と毎月24日を「茶の湯の日」と条例で定めている。お茶に親しむ習慣を取り戻す手だてはないものか。「一杯茶はいけんよ」。慌てて家を出ようとすると母にたしなめられたものだ。余裕を持ってという教えも、お茶を飲まなくなれば響かなくなる。(富)