■短歌 寺井 淳選
丸盆の一つで足りる夕餉なり畑仕事で缶ビール足す 隠岐の島 中前さつき
【評】二度出てくる「足」は、満足の「足」でもあるのでしょう。竹山広さんに「思ひて充つるもの麦酒のみ」という下句を持つ歌がありますが、下戸にはうらやましい感覚です。
広き田は機械のあとに早苗並び農事組合の人かげの見ゆ 出 雲 花田 敦子
【評】広き田という初句を、二句以降がみごとに映像として定着させています。何の技巧もてらわずに、田植え後の景を述べるだけで静かに渡る風までが感じられます。
昼顔咲く皆生の浜に...