「ホントかよ!」。最初は耳を疑った。元ビートルズのギタリスト、ジョージ・ハリスンがエリック・クラプトンを従えて、来日するというのだ。時は1991年。しかも会場の一つは広島サンプラザ。行くしかなかった。
当時、クラプトンは息子を事故で亡くし、失意の底にあった。公演は、クラプトン側が長年の友人であるジョージを誘ったそうだ。
演目はジョージの曲が中心。中ほどでクラプトンがいくつか自曲を演奏した。その最後が「ワンダフル・トゥナイト」。「これやるの!」。ギターのイントロを聴いた瞬間、興奮の針が振り切れた。このラブバラードは横恋慕の末、ジョージから奪った女性への思いを歌い上げる。それをこの舞台で披露するとは!
もう一曲。「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」でも頭が真っ白になった。ビートルズのホワイトアルバム収録のこの曲は、泣きのギターソロをクラプトンが弾いた。それをジョージの歌とともに生で聴いてしまった多幸感。ジョージは2001年に他界し、クラプトンは今77歳。今にして思えば、あの広島は一期一会。奇跡の公演だった。 (示)
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