ちょうど2年前のきょうの話。旅行で訪れたロシア・ウラジオストクの空港で帰りの便を待っていると、滑走路に2機の軍用機が着陸した。プロペラが二重になった独特の機体は長距離爆撃機を改造した哨戒機で、地上の整備員たちが駆け寄っていくのが見えた。数枚だったが、機体の写真を何げなく撮影していた▼帰国後に防衛省のホームページを見ると、隠岐諸島の北側や対馬をかすめて、韓国の済州島周辺まで飛行した哨戒機の写真があり、尾翼に刻まれた機体番号があの時の写真と一致した。空港で見た2機は、長い偵察飛行を終えた直後だったようだ▼その後、同様に自衛隊機が対処した「特異飛行」に注目していると、2カ月後には、別のロシア機が竹島(島根県隠岐の島町、韓国名・独島(トクト))上空に現れた。竹島上空の防空識別圏は韓国が主張しており、韓国軍の戦闘機がロシア機の近くで約360発の警告射撃をした。この際、周辺には中国機もいた。中ロによる日本海での共同飛行は、その後も確認されている▼中国とロシアが米国と対立を深める中、沖縄県の尖閣諸島と同様に、山陰沖も「新冷戦」の最前線となっているのではないだろうか。両国の軍用機は日本の出方を試しているようにみえる。危機感は高まるばかり▼きょうは憲法記念日。地域の安定を守るためにも憲法における自衛隊の在り方という根本の議論を深めてほしい。(釜)