伸びやかな感性と古典の深い教養が息づく独自の作品で、半世紀にわたり歌壇をリードしてきた馬場あき子さん。昨年刊行の全歌集からは、旺盛な好奇心で新境地を切り開いてきた軌跡が浮かぶ。「いやあ面白いよ、世の中。世の中が面白いのは人間が面白いから。人間が面白いと思えない人は駄目ね」。そう笑う。

▼戦時中に喜び知る

 短歌との出合いのきっかけは「結局、戦争で...