昨年と同じカードとなったプロ野球日本シリーズで、ヤクルトに引き分けを挟んで2連敗を喫した後、4連勝で26年ぶりの日本一をつかみ取ったオリックス。敵地・神宮球場での歓喜の輪の中に、懐かしい顔を見つけた。今季限りで現役を引退する鳥取城北高出身の能見篤史投手兼任コーチ(43)だ。
エース山本由伸投手(24)が第1戦で左脇腹の違和感で降板し、チームも敗れる緊急事態の中、球団最速の160キロを誇る山崎颯一郎投手(24)や、プロ2年目で7月に支配下登録されたばかりの159キロ右腕・宇田川優希投手(23)ら強力な中継ぎ陣が活躍。そんな経験の浅い若手をブルペンで支えたのがベテラン左腕だった。
鳥取県内でスポーツを担当していた25年前に取材した高校時代の能見投手は、悲運のエースのイメージが強い。
【特集】元トラのエース、能見投手が引退へ 高校時代、あと一歩届かなかった甲子園
同学年でオリックスに入団した川口知哉投手(京都・平安高)、阪神で活躍し大リーグにも挑戦した井川慶投手(茨城・水戸商高)と並ぶ「高校生左腕三羽がらす」と騒がれたが、甲子園には縁遠かった。
2年生の秋の中国大会で4強入りしたもののセンバツ出場はならず、腰を痛め不十分な状態で臨んだ3年生の夏は、守りのミスが重なり鳥取大会2回戦で敗退。「バックを信頼して全員野球で勝つ」と意気込んでいただけにショックだったのか、試合後は報道陣の前から姿を消した。
社会人の大阪ガスを経て2004年、...