魚瀬(松江市)の心象風景を描いた6月の挿絵とカレンダーの表紙
魚瀬(松江市)の心象風景を描いた6月の挿絵とカレンダーの表紙
宇龍の権現島を描いた原画を手にする木村葉子さん=松江市殿町、山陰中央新報社
宇龍の権現島を描いた原画を手にする木村葉子さん=松江市殿町、山陰中央新報社
魚瀬(松江市)の心象風景を描いた6月の挿絵とカレンダーの表紙
宇龍の権現島を描いた原画を手にする木村葉子さん=松江市殿町、山陰中央新報社

 島根半島の風景と伝統文化を後世に伝える「島根半島四十二浦巡り再発見研究会」(飯塚大幸会長)が2023年のカレンダーを製作した。会員にゆかりがある神戸市在住の洋画家・木村葉子さん(44)が描いた6枚を挿絵に採用するなど、例年と趣を変えている。

 松江市に住む木村さんの義母が研究会の会員。浦々の訪問記を会報に連載しており、木村さんが挿絵を担当していた。これに目を付けた事務局が原画を描いてほしいと依頼した。

 心象風景を描いた作品で地元・神戸などで個展を開いている木村さんは8月中旬、東西100キロ余りの島根半島を走破して、各地の風景を頭の中に焼き付け、そこに暮らす人々の思いを想像しながら作品を仕上げた。

 カレンダーの挿絵となった6枚のうち、旧暦1月5日に和布刈(めかり)神事が行われる宇龍の権現島(出雲市大社町)は、古代から受け継ぐ静寂な空気感をブルーのグラデーションで表現。木村さんは「権現島のおかげで宇龍が守られているということを感じた」と振り返る。

 また、夕暮れ時のほのかな明かり、集落の夜景と月を同時に描いた魚瀬(松江市魚瀬町)も幻想的な雰囲気を醸し出している。

 挿絵のほか、残り6枚は従来通り神社の祭りや風景写真で構成している。

 A4判のカレンダーは500部作成。松江市殿町の島根県物産観光館や、同市田和山町の今井書店グループセンター店などで販売している。税込み880円。

 (万代剛)