大型連休中は人混みを避け、松江市島根町の少し奥まった場所にある防波堤に出掛けた。先端に陣取ると近くに初老の3人グループが入ってきた。折り畳み椅子を広げて竿(さお)を出し、関西弁でおしゃべりしながら、自然を満喫していた。駐車スペースには「神戸」「京都」といった関西圏の乗用車がずらり。小さな漁港にまで県外客が集まった▼こうした動きは全国的な現象だった。新型コロナウイルスの感染拡大地域では飲食店やレジャー施設が休業中。そこでリスクの低い地方で余暇を楽しもうという考えが解せない。大多数の人が古里との行き来を控え、年単位で我慢が強いられる中、県境を越えて遊びに出掛けるのは安易すぎないか▼政府や自治体が不要不急の外出をしないよう要請するが、人出はそれほど減らない。ロックダウン(都市封鎖)を実施した欧州では、正当な理由がない外出に罰金が科せられた▼菅義偉首相は憲法記念日の3日、憲法改正で緊急事態条項を明記する必要性に触れた。政府の権限を強化し私権制限を裏付けるものだ。人さまに迷惑を掛けないよう気配りする文化で私権制限は必要ないと考えていたが、過去の話なのか。コロナ疲れが影響したのか、もはや自分勝手が当たり前になっている▼高齢者を皮切りにワクチン接種が始まり、いずれ全国民へ行き渡る。私権制限が論議される前に、もう少し我慢ができないものか。(釜)