冬になると食卓に登場する機会が増える「鍋」。手軽に本格的な味を再現できるレシピを3種、紹介する
冬になると食卓に登場する機会が増える「鍋」。手軽に本格的な味を再現できるレシピを3種、紹介する

 「鍋」料理は冬になると食卓に登場する機会が増える。手軽に作れて旬の野菜を摂取しやすいのが魅力だが、つい毎回同じような味、食材で作ってしまう…と悩んでいる人も多いのではないか。素材のうまみを引き出す鍋料理のレシピを3種、紹介する。(Sデジ編集部・宍道香穂)

 ピリッと辛みがきいた「火鍋風鍋」、薬味と鶏肉のだしが良く出た「サムゲタン風鍋」、シンプルな和風だしで味わう「しゃぶしゃぶ鍋」のレシピを、山陰中央新報文化センター料理講師の三阪和栄さん(57)に聞いた。

山陰中央新報文化センター料理講師の三阪和栄さん(57)

▽サムゲタン風鍋
 「サムゲタン」は鶏肉の中にもち米や高麗ニンジンなどを入れて煮込んだ料理で、薬膳料理としても人気がある。今回はスーパーなどで手に入る食材で手軽に作れる「サムゲタン風鍋」のレシピを教えてもらった。

薬膳料理としても人気の「サムゲタン」。スーパーなどで手に入る食材で手軽に作れる再現レシピを教えてもらった

材料(4人分)
 鶏手羽元肉8本、塩小さじ2分の1、酒大さじ1
 もち50グラム
 ニンニク、ショウガ各1かけ、白ネギの青い部分1本分
 鶏ガラスープ1リットル(水1リットルに鶏ガラスープの顆粒大さじ1を混ぜる)、酒大さじ2、塩小さじ2分の1、あらびきコショウ 少々、ごま油小さじ1、甘栗8粒
 豆腐、白菜、シイタケ、白ネギ、三つ葉など好みの食材を適量

「サムゲタン風鍋」の材料。ショウガやニンニク、ネギといった薬味でだしを取り、鶏肉や野菜を入れて煮込む

① 鶏肉に塩と酒をかけてもむ。
② ニンニク、ショウガ、白ネギの青い部分を粗みじん切りし、コショウと一緒に茶袋に入れる。豆腐や野菜は食べやすい大きさに切る。もちはスープに溶けやすくなるよう、ちぎり分ける。
③ 薬味を入れた茶袋を包丁の柄などでたたき、香りを出してから鍋に入れる。調味料と油、もち、甘栗も鍋に入れ、鶏肉が柔らかくなるまで煮込む。約30分間が目安。
④ 豆腐や野菜を入れて煮込み、完成。

茶を煎じる時に使う「茶袋」に薬味を入れ煮込むと、だしをうまく取ることができる

 茶を煎じる時に茶葉を入れる「茶袋」を使うと、ニンニクやショウガ、ネギのだしをうまく取ることができる。「茶袋は、だしを取る時やハーブをもむ時などにも使えて便利」(三阪さん)。もちや甘栗も入っているためスープにとろみ、甘みが出ている。

野菜や豆腐を入れる前のスープ。薬味や鶏肉のうまみが溶け込んだだしが、いい香りを出している

 鍋のふたを開けると鶏肉や薬味、野菜のうまみが溶け込んだだしが、ふわりと香った。白くてとろみのあるスープを飲むと、だしの風味が口に広がる。薬味の香りがしっかりと溶け出ておいしい。鶏肉はじっくり煮込まれて、ほろりと柔らかい。鍋のシメには麺のほか、ごはんを入れてもおいしいという。

▽火鍋風鍋
 「火鍋」は中華風の鍋料理。中でも辛みがある赤いスープの「マーラー鍋」が思い浮かぶ人は多いだろう。さまざまな香辛料を使ったスパイシーな味わいを、身近な食材で再現したレシピを紹介する。

「火鍋」の中でも人気の「マーラー鍋」。香辛料を使ったスパイシーな味わいを、身近な食材で再現する

材料(4人分)
 ニンニク、ショウガ各1かけ、白ネギ1本、鷹の爪1本、ごま油大さじ2
 コチュジャン、マーラージャン各大さじ2、鶏がらスープ1リットル、オイスターソース大さじ1、シナモンスティック1本、八角1個、クコの実大さじ1、酒大さじ2
 豚スライス肉、絹ごし豆腐、ジャガイモ、きくらげ、シメジ、白菜、豆苗、ニラ、白ネギなど、好みの具材を適量

スープの材料。ネギや香辛料で香りを、コチュジャンやマーラージャンで辛みを出す
「火鍋風鍋」の具材。豚肉は食べる直前に入れ、しゃぶしゃぶのように味わう

① ニンニクとショウガを粗みじんに切り、野菜や豆腐は食べやすい大きさに切る。白ネギは4センチの長さに切り、ジャガイモは厚さ1センチにスライスすると食べやすい。
② ごま油、ニンニク、ショウガ、白ネギ、鷹の爪をフライパンに入れ、弱火で炒める。ニンニクやショウガは油が熱する前に入れることがポイント。ニンニクが焦げにくくなるほか、香りが油に移りやすくなる。
③ 香りがたったらコチュジャン、マーラージャン、鶏がらスープ、オイスターソース、スパイス、酒を加えて煮立たせて、鍋に移す。
④ ジャガイモなど煮えにくいものから順に鍋に入れて煮込み、完成。豚肉は食べる直前に入れ、しゃぶしゃぶのように味わうと良い。

ネギやショウガ、香辛料などを煮込んだスープ。スパイシーな香りが食欲をそそる

 ぐつぐつと煮込まれた赤色のスープは迫力がある。スパイスからも香りがしっかりと出て、食欲をそそられる。辛いだけでなく、うまみがぎゅっとつまったスープだと感じた。アレンジとして、チーズを加えるのもお薦めという。「辛さを足したい場合は、ニンニクなどを炒める時にコチュジャンやマーラージャンを一緒に炒めるといい」(三阪さん)。炒めると辛みが強く出るという。シメは麺が良く合う。

▽しゃぶしゃぶ鍋
 最後は、シンプルな和風だしで味わう「しゃぶしゃぶ鍋」の作り方を紹介する。手軽に作れるほか、どんな食材も合わせやすいため、旬の食材など好みの具を好きなように入れられるのがうれしい。付けダレはゴマ、ポン酢、ラー油の3種類を用意する。

和風だしで味わう「しゃぶしゃぶ鍋」。昆布で取っただしは深みのある味わいで、どんな食材も合わせやすい

材料(4人分)
水1リットル、昆布4センチ角、塩小さじ1、酒大さじ2
牛肉、白菜、セリ、春菊、豆腐、マイタケ、エノキ、葛切りなど、好みの食材を適量

付けダレ3種
 それぞれ、材料をよく混ぜ合わせる。
・ポン酢:かつおだし(削りカツオ2.5グラムに湯50ミリリットルを注ぐ)、レモンなどかんきつ類の果汁50ミリリットル、濃い口しょうゆ50ミリリットル
・ラー油ダレ:食べるラー油、ポン酢
・ごまダレ:練りごま、すりごま、みそ、砂糖各大さじ1、みりん大さじ2

「しゃぶしゃぶ鍋」の材料。今回は牛肉や春菊、豆腐、マイタケなどを入れる

① 野菜や豆腐を食べやすい大きさに切る。
② 鍋に水と昆布を入れ、10分置く。火にかけて塩と酒を加え、ひと煮立ちさせる。
③ 野菜を入れて煮込み、完成。牛肉は食べる直前にサッと火を通して食べる。

(手前左から)ごまダレ、ラー油ダレ、ポン酢。刻んだネギをかけるのもお薦めという

 三阪さんは「どんな食材とも相性がいいスープ。鶏肉を入れて煮込めば鶏だし鍋になる」と説明した。確かに、だしはシンプルだが深みのある味わいで、どんな肉や野菜とも合いそうだ。ごま、ポン酢、食べるラー油と、付けダレを変えると味わいもガラリと変わり、飽きが来ない。安定感のある落ち着いた味わいの鍋に、体も心も温まった。