奇才・神田等謙の「金山寺図屏風」を紹介する寺戸元子学芸員=益田市乙吉町、市立雪舟の郷記念館
奇才・神田等謙の「金山寺図屏風」を紹介する寺戸元子学芸員=益田市乙吉町、市立雪舟の郷記念館
雲谷等益の「山水図屏風」(右隻)=益田市乙吉町、市立雪舟の郷記念館
雲谷等益の「山水図屏風」(右隻)=益田市乙吉町、市立雪舟の郷記念館
奇才・神田等謙の「金山寺図屏風」を紹介する寺戸元子学芸員=益田市乙吉町、市立雪舟の郷記念館
雲谷等益の「山水図屏風」(右隻)=益田市乙吉町、市立雪舟の郷記念館

 江戸時代後期に萩藩で活躍した絵師で、「奇才」として近年光が当たる神田(こうだ)等謙(とうけん)(生没年不詳)ら雲谷(うんこく)派の絵師2人のびょうぶ絵を並べた企画展「水墨画ファンタジー」が益田市乙吉町の市立雪舟の郷記念館で開かれている。雲谷派は、同市ゆかりの画聖・雪舟(1420~没年不詳)の流れをくむ流派で「動」と「静」の画風の違いが際立っている。3月31日まで。 (中山竜一)

 等謙は江戸後期の萩藩の絵師だったこと以外は詳細不明だが、伊藤若冲(じゃくちゅう)や曾我(そが)蕭白(しょうはく)ら江戸時代に活躍した絵師35人の奇抜な絵画を集め、2020年に江戸東京博物館(東京)であった特別展「奇才」で作品が選ばれ注目を集める。

 今回展示されたのは等謙の「金山寺図屏風」(六曲一隻)。雲谷派の絵師がよく描いた「西湖図屏風」とセットだったとみられ、建物を濃い線で描き、墨の濃淡差が目を引く。崖や岩の表現が力強く背景の稜線(りょうせん)がとがっていて「動」を感じさせる。

 一方、江戸初期の雲谷等益(1591~1644年)の「山水図屏風」(六曲一双、益田市指定文化財)は「静」の雰囲気。右隻の背景には雪を頂いた山並みが丸っこく描かれ、楼閣も丁寧に表現し穏やかな空気が流れる。

 担当の寺戸元子学芸員(41)は「同じ雲谷派の絵師でありながら異なる画風を対比して楽しんでほしい」と来場を呼びかけた。

 開館時間は午前9時~午後5時。3月21日を除く毎週火曜日と2月24日、3月22日は休館。入館料は一般300円、小中高生100円、未就学児無料。