養殖場でホンモロコを笊に上げるINO神明クラブの丸山千尋会長(右)と飛野弘二さん=浜田市三隅町井野
養殖場でホンモロコを笊に上げるINO神明クラブの丸山千尋会長(右)と飛野弘二さん=浜田市三隅町井野
唐揚げにしたホンモロコと、カウンター上の水槽に釣り糸を垂らす日高大喜さん=広島市中区薬研堀、D&N
唐揚げにしたホンモロコと、カウンター上の水槽に釣り糸を垂らす日高大喜さん=広島市中区薬研堀、D&N
養殖場でホンモロコを笊に上げるINO神明クラブの丸山千尋会長(右)と飛野弘二さん=浜田市三隅町井野
唐揚げにしたホンモロコと、カウンター上の水槽に釣り糸を垂らす日高大喜さん=広島市中区薬研堀、D&N

 浜田市内の高齢者クラブが休耕田で養殖した高級淡水魚のホンモロコを、広島一の繁華街・流川のバーに出荷し、島根のPRに一役買っている。広島県が16日に新型コロナウイルスの緊急事態宣言地域となり、バーは休業を余儀なくされている。生産者らは宣言明け後も食材を届けたいとエールを送る。 (新藤正春)

 バー「D&N」は、島根県邑南町出身の日高大喜さん(30)が経営。カウンターにはエビやホタテなど魚介類が入った水槽が並び、このうちの一つで、ホンモロコが泳いでいる。

 ホンモロコは琵琶湖の固有種である淡水魚で、体長は7センチほど。癖のない白身が特徴で、高値で取り扱われるため各地で養殖が盛んだ。

 ホンモロコに目を付けた日高さんが取引先を求めて行き着いたのが、古里に近い浜田市三隅町井野の高齢者グループ「INO神明クラブ」(丸山千尋会長)。

 クラブは、2018年に山の湧き水を引き込んだ休耕田で養殖を始めた。3月に実現した初めての県外出荷に、事務局の飛野弘二さん(75)は「試行錯誤を重ねてようやく形になった。魚を通して地域を知ってもらえるとうれしい」と話す。

 客に水槽から釣り上げてもらい、唐揚げにする趣向が好評で、仕入れ先の島根が話題になった。

 だが、1キロの仕入れ分はほぼ完売し、軌道に乗った頃の緊急事態宣言発令。夜間営業、アルコール提供が売りのバーが休業を余儀なくされた。それでも、日高さんは「食材の提供を通じて、古里のことを知ってほしい。宣言が明けてからも提供を続けたい」と意欲を見せる。

 コロナ禍の影響をまともに受ける流川で踏ん張る島根の若者を、INO神明クラブのメンバーも支えるつもりだ。飛野さんは「決して追い風ではない苦しい中だが、何とか元気で商売を続けてほしい。こちらもホンモロコの提供を続けられるよう努力する」と誓う。