首長の新型コロナウイルスワクチン接種で、山陰両県の自治体トップの対応が分かれている。高齢者の接種が進む中、65歳未満でも危機管理の立場やキャンセル分の廃棄回避を理由に優先して打つ例がある一方、未接種の首長は予約の殺到などを考慮。全国で賛否が渦巻くことに、国が首長接種の明確なルールを示すべきとの指摘が上がる。(取材班)

 島根、鳥取両県の知事と38市町村長の計40人のうち、接種を受けたのは1市5町1村の7人。島根4人、鳥取3人だった。

 厚生労働省が自治体に対し、優先接種に該当する医療従事者の対象選定を委ねるとともに、余剰分の有効活用を求める中、各自の判断で接種。

 廃棄を避けるため、危機管理責任者として接種を決めたほか、高齢者枠に該当し、住民と同じ手順で受けた町村長もいる。

 未接種の上定昭仁松江市長(48)は危機管理の観点に理解を示しつつ、接種を待つ高齢者が多いことを踏まえ「私自身も一市民。同じ視点で順番を待つ」と説明。

 平井伸治鳥取県知事(59)も「(自身が住む)鳥取市のルールに従い接種を受ける」とし、松江市の案内を受けて打つ考えの丸山達也島根県知事(51)は優先接種した場合は「住民に理解をされるように説明するのが重要」と話した。

 首長が先駆けて接種しているとの批判が上がる原因を「ワクチンの供給量が十分でないため」としたのは深沢義彦鳥取市長(68)。田中武夫安来市長(72)は「首長の扱いが明確ならば、賛否が揺れる状況にならなかった」と述べ、国が自治体トップの接種の線引きを明らかにすべきだったと指摘した。