使用者が少なくない加熱式たばこ。たばこ税を段階的に引き上げるというが…
使用者が少なくない加熱式たばこ。たばこ税を段階的に引き上げるというが…

 今回は屁理屈(へりくつ)にお付き合いいただきたい。2023年度から5年間の防衛費総額43兆円の財源の一部としてたばこ税を段階的に引き上げるという。今のところ1本換算で3円と伝えられる▼ただこの図式では、喫煙人口が増えるほど防衛費の確保につながる。政府や与党議員は率先して喫煙に協力するのだろうか。今は「健康への悪影響が否定できません」などと記載されているたばこのパッケージにも「たばこの税金は国民の命を守るために使われています」と印刷されるようになるかもしれない▼非喫煙者には影響がないたばこの増税は、これまでも繰り返しターゲットにされ、今では料金の約6割を税が占める。為政者にとっては、取りやすい税金に当たるようだ▼そのこと自体に文句を言うつもりはないが、それを防衛費の財源にすることと、受動喫煙対策を強化するため、3年前に全面施行された改正健康増進法の整合性はどうか。禁煙を推奨する行為は、防衛費の財源確保を邪魔することになる。まさか戦時中のように「非国民」扱いはされないだろうが、国として、どっちに軸足を置いているのか分からなくなる▼そんな笑い話のような事態を招かないよう、本当に必要な中身と金額なら「取りやすいところから」というご都合主義ではなく、所得と資産の額に応じて負担する「堂々とした」手法での増税に理解を求めるべきではないか。(己)