■浜田(定数3)
自民党の現職、新人2人と立憲民主党系現職との争いで、知名度や実績で勝る現職が優位に戦いを進め、新人が追う展開となっている。定数3となった2007年以降で初めて自民3人が立ったのもポイント。旧那賀郡を地盤とし20年に死去した、自民の岡本昭二元県議が前回選(19年)で獲得した8千票の行方が影響しそうだ。
自民新人で昭二元県議の長男の岡本は街頭で父への支援に感謝し自身が後継者だと強調。父の支援者回りに注力し票の死守に懸命だ。しかし父の死後、2年たち陣営は地盤の揺らぎを懸念。岡本の銀行員時代の人脈を足掛かりに旧浜田市の票の掘り起こしも進める。
自民新人の足立は2期5年の市議経験をアピール。組織力で他陣営に劣り、出馬表明も4人の中で最も遅かったが、市民向けインターネット広告が告示前の1カ月間で12万回視聴され、手応えをつかむ。大通り前で少子化対策を訴え若者や女性票の獲得を狙う。
旧浜田市内に強固な地盤を持つ自民現職の大屋は、20年末に旧那賀郡に後援会支部を置き郡部で活動を強めてきた。建設業などにあったかつての「岡本票」の切り崩しにかかっており奏功すれば、新人2人は票を食われ接戦が予想される。
無所属で立民党員の須山は、自民3人の争いに埋没することを懸念する。連合島根が推薦し、選挙への関心が薄い若手組合員向けの集会を強化。市職労を中心に労組票固めに注力するほか、事業活動する水産、音楽関係者への浸透を図る。
=敬称略=
(取材班)
◇浜田選挙区立候補者(定数(3)-4人、届け出順)
須山 隆 61 無現(4)
大屋 俊弘 71 自現(6)
足立 豪 49 自新
岡本 淳 51 自新
■鹿足(定数1)
8年ぶりの選挙戦は、ともに保守系で津和野町の旧日原町を地盤とする2人の一騎打ちとなった。7期を目指す現職の中村が当初優位とみられていたが、新人の岡田が地盤外の吉賀町で食い込み、激戦になっている。選挙区の旧4町村の中で、有権者の6割超を占める、旧六日市町と旧津和野町の票の出方が勝敗を決すとみて、両陣営とも票の掘り起こしに躍起だ。
「責任ある仕事を任せられる立場になった」と県議会議長の経験など実績をアピールする中村は、津和野、吉賀両町の農業関係者や津和野町を中心に建設業関係者の支持を得る。津和野町議会の正副議長ら町議も支援。津和野、吉賀両町をくまなく回り、SNSで遊説を投稿するなど幅広い年代層への浸透も狙う。
岡田は、知名度拡大に向け、名前の連呼と、選挙カーを降りて個人に訴える作戦を展開。特に吉賀町での浸透に力を入れ、六日市病院の存続を掲げて「住民の命を守る」と強調。吉賀町議会の正副議長ら半数の町議が支援に回る。同町地盤の候補が前々回選で中村に敗れて、町内に残るしこりも追い風になっている。
投票率は、中村陣営が70%台前半、岡田陣営が70%前後を予想。終盤に向け、中村陣営は、岡田が食い込みをみせる旧六日市町で遊説時間を増やして票の上積みを図り、投票率が上がれば有利と見る岡田陣営は、演説会の回数を増やし、人口の多い旧津和野町での支持拡大を目指す。
=敬称略=
(藤本ちあき)
◇鹿足選挙区立候補者(定数(1)-2人、届け出順)
中村 芳信 69 自現(6)
岡田 克也 57 無新