城下町に春の風物詩が戻ってきたー。松江城を築いた武将・堀尾吉晴一行の約400年前の入城を再現する「松江武者行列」が8日、新型コロナウイルス禍による中止を経て4年ぶりに実施された。甲冑(かっちゅう)や着物に身を包んだ約170人が練り歩く「時代絵巻」に、詰めかけた観光客らが見入った。
市内の商店街や松江観光協会でつくる実行委員会の主催で2019年以来、16度目の開催。例年、白潟天満宮前(松江市天神町)から城に向かって練り歩くが、多くの観光客や住民に見てもらうため、城発着のコースで初めて実施した。
吉晴役は清原学さん(61)=神戸市東灘区=が務め、強風が吹く中でもどっしりと馬にまたがって行進。途中、参加者が鉄砲や刀を構える演舞があり、ほら貝や鐘といった鳴り物で当時の勇壮な雰囲気を醸し出した。
一行は、殿町の市街地を1時間半かけて回り城に戻ると、最後は「エイエイオー」の勝ちどきで締めくくった。3年間待ち望んだ出演者の思い入れは強く、毎年のように参加し、先頭でほら貝武者を務めた松江市春日町の吉田健一さん(60)は「久々の行列はやっぱり気持ちがいい」と感慨深げだった。
初めて訪れた同市西川津町、会社員の安達学さん(64)は「盛大でにぎやかな様子が良かった」と話した。(原暁)