「はなちゃん おとなになります」ほか
「はなちゃん おとなになります」ほか

 4月になりましたね。明日から新学期が始まる小中学校も多いのではないでしょうか。そんなみなさんに今回は最初の一歩を踏(ふ)み出せるような本を3冊(さつ)紹介(しょうかい)します。

 『ぼくのまつり縫(ぬ)い』(神戸(こうべ)遥真(はるま)・作、偕成社(かいせいしゃ))ケガをしてサッカー部を休んでいる中学1年生の優人(ゆうと)は、実は手芸が大好きな男の子。裁縫(さいほう)が得(とく)意(い)であることを手芸部のクラスメートに知られてしまい、手芸部の助(すけ)っ人(と)をすることになりました。

 だんだんと被服室(ひふくしつ)通いが楽しくなってきた優人ですが、やがて足のケガが治ると仲間の待つサッカー部を続けるか手芸部の手伝いを続けるか思い悩(なや)みます。

 好きなことに素直(すなお)になりたい自分と素直になれない自分に何だかもやもやする優人の気持ちに共感できる人も多いのではないでしょうか。自分の好きなことを大切にしたくなるお話ですよ。

 『はなちゃん おとなになります』(千葉(ちば)智江(ともえ)・作、小学館(しょうがくかん))「おとなになるんだもん」が最近の口ぐせのはなちゃん。お姉(ねえ)ちゃんから「大人(おとな)になるにはいろんなことができるようにならないと」と教わり、初めて1人でバスに乗ることに挑戦(ちょうせん)します。

 バスの「降(お)りますボタン」を押(お)すことができたらなんだか大人になれるような気がして、そわそわするはなちゃん。いざ自分が降りるバス停(てい)が近づき、ボタンを押そうとすると、前の席で小さい男の子がボタンを押したいと泣いています。さて、はなちゃんはどうするのでしょうか?

 『はじめのちいさないっぽ』(サイモン・ジェームズ・作、評論社(ひょうろんしゃ))お母さんとはぐれ、迷子(まいご)になってしまったアヒルの3兄弟。末っ子アヒルがくたくたに疲(つか)れて動けなくなっていると、お兄ちゃんたちが「はじめのいっぽ」の歩き方を教えてくれました。

 どんなに疲(つか)れて立ち止まってしまっても、一歩ずつなら少しでも前へ進めることを知った末っ子アヒルの「はじめのいっぽちゃん」は、お兄ちゃんたちにはげまされながらお母さんに会うためにおうちを目指して一歩一歩進んでいきます。

 新しいことが始まるときは、楽しいこともあればそうでないこともありますよね。はじめのいっぽちゃんのように、少しずつ前に進んでいきましょう。もし疲れてしまったら図書館に遊びに来てください。図書館は、いつでもみなさんを応援(おうえん)しています。

 (古川(ふるかわ)愛生(あおい)・松江(まつえ)市立大庭(おおば)小学校司書)