先日、RADWIMPS(ラッドウィンプス)の「正解(せいかい)」という歌を、子どもたちの合唱で聴(き)く機会がありました。「答えがある問いばかりを教わってきたよ だけど明日からは 僕(ぼく)だけの正解をいざ 探(さが)しにゆくんだ」という歌声が心に響(ひび)き、とても感動しました。
日本では、多くの人が高校→大学→就職(しゅうしょく)という道を進み、まるでそれが正解かのように感じることがありませんか? 世界ではいろいろな生き方をしている人たちがいます。『旅に出よう 世界にはいろんな生き方があふれてる』(近藤雄生(こんどうゆうき)著(ちょ)、岩波(いわなみ)書店)を読むと、著者が5年におよぶ世界の旅で実際(じっさい)に出会った人々が紹介(しょうかい)されており、日本人の私(わたし)からすると驚(おどろ)くような人ばかりでした。
さまざまな文化や人種による価値観(かちかん)の違(ちが)いがあり、独裁政権(どくさいせいけん)によって祖国(そこく)を出ざるをえなくなった人もいれば、自分で国までつくってしまう人、毎日路上で二胡(にこ)(中国の弦楽器(げんがっき))を弾(ひ)いている人、食べるために捕鯨(ほげい)をしてくらしている人もいました。自分ではどうしようもない、国による大きな力がはたらくことはあれど、それでも自分で生き方を選んでいっているというのがリアリティーをもって感じられると思います。生き方は自由なんだ、とも。
自由に生きたいと考えても、生きるために欠かせないものが「お金」です。お金って何だろう、とじっくり考えたことありますか?
『きみのお金は誰(だれ)のため』(田内学(たうちまなぶ)著、東洋経済新報社(とうようけいざいしんぽうしゃ))、これは、主人公の優斗(ゆうと)がボスから「お金に価値はない。もっと大事なものがある」ということを学んでいきます。ボスは大金持ちで、
一、お金自体には価値がない
二、お金で解(かい)決(けつ)できる問題はない
三、みんなでお金を貯(た)めても意味がない
というのがお金の真実だというのですが…。
この本の著者は元証券(しょうけん)マン。お金に関わる仕事をしている人なので、これを読めばお金とは何かが少し分かるかもしれません。それだけでなく、働くとは何か、自分と社会との関わり、大切な人のこと…今まで当たり前だったことの概念(がいねん)が変わるかもしれません。これから社会に出ていくであろう方々に、ぜひおすすめしたい1冊(さつ)です。
この春、新たな旅立ちやチャレンジをする方は、楽しみと同時に不安を感じることもあるのではないでしょうか。そんな時にはこの本。『きみの行(ゆ)く道』(ドクター・スース作・絵、いとうひろみ訳(やく)、河出書房新社(かわでしょぼうしんしゃ))では、出発した先ででこぼこ道に入ったり、迷(まよ)ったり、こわいものに出合ったりします。「ただ待つだけの人」の場所に入ることも。でも最後に、ぜったい成功します! そう言い切ってくれるこの本は、ふしぎとそんなふうに思えてきて、勇気が出てきます。
新たな門出を迎(むか)える方もそうでない方も、進む道の正解はあなたの中だけにあります。自由にあなたらしく、勇気をもって歩んでいってください。
(住田美津子(すみたみつこ)・隠岐(おき)の島(しま)町図書館司書)
=おわり=