「新恐竜 絶滅しなかった恐竜の図鑑」(左)ほか
「新恐竜 絶滅しなかった恐竜の図鑑」(左)ほか

 子どもの頃(ころ)の私(わたし)は、いろいろなことを空想するのが大好きでした。きっと誰(だれ)もがそうでしょう。では、みなさんは、「空想の生き物」を頭の中に登場させたことはありますか?

 もしも恐竜(きょうりゅう)が今でも生き続けていたら…そんな空想から生まれたのが『新恐竜(しんきょうりゅう) 絶滅(ぜつめつ)しなかった恐竜の図鑑(ずかん)』(ドゥーガル・ディクソン著(ちょ)、Gakken(ガッケン))です。著者のディクソンさんは古生物学者(過去(かこ)に生きていた生物を研究する人)としての科学的な知識(ちしき)を生かし、恐竜が絶滅せず6600万年前から進化をし続けたらどうなるのかを考え、図鑑にしました。

 登場する恐竜の数は60種類以上! たとえばティラノサウルスの仲間は狩(か)りのために前歯が大きく飛び出した形に進化していたり、トリケラトプスの仲間は鼻の上にある角(つの)が鎧(よろい)のように肩(かた)まで広がる形になっていたりと、私たちが知っている恐竜とは違(ちが)う奇妙(きみょう)な姿(すがた)には、不思議な魅力(みりょく)と驚(おどろ)きがあります。

 恐竜が今も生きていたら私たち人類は存在(そんざい)していなかったと言われています。この本の中に住む「もうひとつの進化」の世界の恐竜たちを、あなたの頭の中で自由に動き回らせてみてください。

 「ゲゲゲの鬼太郎(きたろう)」の作者、水木(みずき)しげるさんは、たくさんの妖怪(ようかい)を紹介(しょうかい)しました。『水木しげる 河童(かっぱ)大百科』(水木しげる著、小学館(しょうがくかん))には、河童はどこからやって来たか、河童から身を守る方法など、河童のひみつが詳(くわ)しく書かれています。河童は夏は川、冬は山に住んでいて、山では河童学校でいろいろなことを勉強しているようですよ。目撃(もくげき)情報(じょうほう)がたくさんあるので、私たちもいつか出会ってしまうかもしれませんね。

 怪物(かいぶつ)たちがいるのは、手足のはえたお城のような『怪物園(かいぶつえん)』(junaida(ジュナイダ)著、福音館(ふくいんかん)書店)。怪物園は、たくさんの怪物たちをのせて長い旅を続けていました。ある夜、怪物たちは外の世界へ抜(ぬ)け出してしまいます。通りを行進すると街の人たちはおそろしくなって家の中へ逃(に)げこみました。外で遊べなくなり、たいくつした子どもたちは空想の旅に出かけることにして… ダンボールバスや風船気球、潜水艇(せんすいてい)に乗って遠く高く深く、空想の旅は続きます。

 そういえば、怪物たちはどうしているのでしょうか? そして、どこまでが物語でどこまでが子どもたちの空想なのでしょうか?

 もし、あなただけの「空想の生き物」が生まれたら誰にも話さなくてかまいません。頭の中に広がる世界で仲良く楽しんでくださいね。

 (大坂深雪(おおさかみゆき)・雲南(うんなん)市立木次(きすき)図書館司書)