春の星空に見えるひし形から、四つの星座(せいざ)を探(さが)してみましょう。
空がすっかり暗くなったころ、東を向くとアークトゥルスという星が出ています。そのあたりでは最も明るく、また特徴的(とくちょうてき)なオレンジ色をしていますので、分かりやすいと思います。アークトゥルスから右に離(はな)れたところには青白く輝(かがや)く星があり、スピカといいます。
アークトゥルスとスピカにもう一つ星を足して、きれいな三角形を作ろうとしたとき、その位置にあるのがデネボラです。また、こうしてできる三角形は「春の大(だい)三角(さんかく)」と呼(よ)ばれています。さらに、その北側にあるコルカロリという星を足すと、大きなひし形を作ることができ、これを「春のダイヤモンド」といいます。
アークトゥルス、スピカ、デネボラ、コルカロリは、それぞれ、うしかい座、おとめ座、しし座、りょうけん座の星ですから、春のダイヤモンドがたどれたら、四つの星座を見つけたことになります。なお、春のダイヤモンドは、おとめ座のスピカを含(ふく)むことから「おとめのダイヤモンド」という、すてきな名前でも呼ばれます。
ところで、明るいスピカは1等星とされ、もっと明るいアークトゥルスは0等星と分類されることがあります。一方、デネボラは、1等星より1段(だん)階(かい)暗い2等星、コルカロリはもう少し暗い3等星です。アークトゥルスから0、1、2、3と明るさの順に並(なら)んでいるところもおもしろいですね。
(島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ))=隔週掲載(かくしゅうけいさい)