月は本当に身近な天体です。夜空に月が出ていても、ありふれた光景なので、気に止めないことも多いでしょう。しかし、その光景も、考えようによっては、たいへん珍(めずら)しいものといえます。
月の実際(じっさい)の大きさは、直径が約3500キロあります。地球の直径が約1万3000キロなので、月の直径は地球の4分の1ほどです。月は地球を回る衛星(えいせい)であり、地球の兄弟星といえるほかの惑星(わくせい)にも月のような衛星を持つものがあります。それらの衛星の中では、地球の月は比較的(ひかくてき)大きいのです。
例えば、火星の周りには二つの衛星が回っています。ともにいびつな形で、大きさは長いところでそれぞれ27キロと15キロしかありません。
また、木星(もくせい)と土星(どせい)には、月より少しばかり大きい衛星がいくつかありますが、木星は地球の11倍、土星は地球の9倍の直径がありますので、惑星本体に比(くら)べれば、それらの衛星は小さいといえます。逆(ぎゃく)に地球は、本体の割(わり)に非(ひ)常(じょう)に大きな月を持っています。
もし、宇宙人(うちゅうじん)が地球上にやって来て月を見たとしたら、その大きさと明るさに驚(おどろ)くかもしれませんね。そして、大きな月が回っているおかげで、地球自体の回転が安定して、地上は穏(おだ)やかな気候になっていると考えられています。
近ごろは、6日の満月(まんげつ)に向けて太っていく月が見られます。空に月が出るのは当たり前と思わず、不思議さを感じながら眺(なが)めてみましょう。
(島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ))
=隔週掲載(かくしゅうけいさい)=