第2次岸田改造内閣で初閣議に臨む高市早苗経済安保相(右)=2022年8月10日、首相官邸
第2次岸田改造内閣で初閣議に臨む高市早苗経済安保相(右)=2022年8月10日、首相官邸

 中国出身の知人が「ビッグニュースだ」と話題にしていた。中国とフランスの大手エネルギー会社が、アラブ首長国連邦(UAE)産の液化天然ガスを初めて人民元決済で取引したという報道。3月下旬のことだったが、聞いた時は全くぴんとこなかった▼合点がいったのが、今月5~7日に訪中したマクロン仏大統領の対応。インタビューに対し「台湾危機を加速させるのが我々の利益になるのか」と、中国を強くけん制する米国と距離を置くかのような発言をした。知人の話を思い出し、中仏両国の歴史的、経済的なつながりの深さを実感した▼先日の主要7カ国(G7)の外相会合では台湾問題に対する結束を確認したが、うわべだけのことではないか、と心配になってしまう▼人民元が国際通貨として力を増していくのは、当該の中国の人たちにとっては頼もしい話であろう。一方で、世界中に人民元経済圏が広がれば、西側諸国が「外交カード」として持つ経済制裁の抑止力を大きく損なう可能性もある▼G7広島サミットが目前の今こそ、経済安全保障担当相である高市早苗氏の発言に注目したい。だが所管外の放送法を巡る問題や、保守分裂の末に日本維新の会候補に敗れた地元・奈良県知事選の責任問題への対応に追われている。外相や経済産業相もいるものの、なぜ岸田文雄首相がわざわざ閣僚ポストを新設したかを思うと、やり切れない。(万)