「大蛇」を熱演する多根神楽団の団員=大田市三瓶町、多根神楽伝承館
「大蛇」を熱演する多根神楽団の団員=大田市三瓶町、多根神楽伝承館

 国立公園・三瓶山麓の大田市三瓶町にある「多根神楽伝承館」で5月、地元の神楽団が定期公演を始めた。コロナ禍で神楽を演じる機会が大幅に減る中、30日に予定される全国植樹祭の開催で注目度が増す三瓶周辺の新たな観光スポットにしたいと、団員たちが気合を入れる。 (錦織拓郎)

 神楽団は三瓶町と近くの山口町の在住者ら24人でつくる多根神楽団。1991年に完成し、今年で30周年を迎えた木造平屋の伝承館を練習拠点にしている。

 これまで団員は市内外で年間約40回の舞台に立ってきたが、今年はまだ3回のみ。活動の停滞が続けば士気の低下につながり、若手への技術伝承もままならなくなると懸念した。

 考えたのが、伝承館を舞台にした定期公演の開催。コロナの影響を受けにくい三瓶山が観光地として見直されていることや、開催規模は縮小されたものの、全国植樹祭の開催で知名度アップが期待されることを踏まえ、公演の場を自ら確保することにした。

 定期公演は月2回。客席の定員を50人に制限し、間隔を取って椅子や座布団を置いている。2回目の公演があった23日は、家族連れを中心にほぼ満席となり、団員が「芝佐・悪切り」「大蛇(おろち)」の2演目を披露した。

 今後は市内の他の神楽団に出演してもらうことも検討している。多根神楽団の神在(じんざい)哲哉団長(41)は「三瓶山を観光してから神楽を見る新たな周遊ルートが定着すればいい」と話した。

 公演は毎月第2土曜日の午後8~9時と第4日曜日の午後2~3時。観覧料は一般千円、中学生以下は無料。