能登半島で発生した最大震度6強の地震では、石川県珠洲市を中心に大きな被害が出た。地下の流体(水)が引き起こした可能性が指摘され、経験したことのない長い揺れだったと振り返る人も。大きな地震がどこでも起き得ることを改めて思い知らされた▼鳥居などが倒壊した被害が、2018年4月に起きた島根県西部地震と重なる。震源の深さは能登の地震と同じ約12キロで、大田市で震度5強を観測。現地で目の当たりにした塀の倒壊や地割れ、ぐにゃりと曲がった金属製の溝ぶたが、地震のエネルギーの大きさを物語っていた▼予報がある台風などの気象災害と違い、突然に襲うのが地震の怖さ。震度6強を観測した00年10月の鳥取県西部地震をはじめ、山陰両県も大きな揺れに見舞われてきた。その経験と教訓をどれだけ生かせているだろうか▼日本書紀にも記載があるほど、古くから大地震は繰り返し起きてきた。多くの古文書に残る記録は、先人からの警戒を促す教えでもある。大津波を含めた被害が伝えられ、貴重な研究資料にもなっている▼国や自治体レベルの対策とともに、被害を抑えるには一人一人の行動が大切になる。緊急地震速報を受けても、身を守る対応が精いっぱいかもしれない。家具の転倒防止策や非常用品の準備に加えて、生活の場面や居場所に応じた行動をシミュレーションするなど、普段から備えを講じておきたい。(彦)











