留学生と鳥取市での暮らしについて話す川口斐斐さん(右端)=鳥取市湖山町南4丁目、鳥取大
留学生と鳥取市での暮らしについて話す川口斐斐さん(右端)=鳥取市湖山町南4丁目、鳥取大

 台湾出身の多文化教室代表・川口斐斐(フェイフェイ)さん(鳥取市在住)が、外国人向けに日本文化を伝え、生活上の困りごと相談に乗る地道な支援活動を長年続けている。昨年末には自治体国際化協会(東京都)の「多文化共生マネージャー(タブマネ)」に鳥取県内で初めて認定され、活動の継続に意欲を新たにしている。

    (岸本久瑠人)

 

 川口さんは東京都内の大学に留学して現在の夫と知り合い、結婚を機に1995年に鳥取市に移住。市国際交流プラザ(鳥取市湖山町西1丁目)で8年間、在住外国人の相談対応や翻訳などの業務に携わった。

 業務の中で、文書の日本語の意味が分からず泣きながら相談に来るなど、生活上の困りごとを抱える在住外国人の多さを実感。2005年に多文化教室「日華ふれんず」を発足させた。

 教室では、語学にとどまらず、日本人の本音と建前の使い分け、日本的な弁当や和食の作り方といった生活に密着した日本文化の知識を伝えた。要望に応じて書類上の漢字にローマ字を振ったり、離婚手続きの説明をしたりと、行政が踏み込めない細やかな支援も手掛けてきた。

 市内在住外国人は4月末時点で1522人。近年増加傾向が続いている。一方で、外国人も暮らしやすい多文化共生社会に向けた企画調整役のタブマネが、鳥取県内に一人もいない状況には懸念を抱いてきた。

 新型コロナウイルス感染拡大で教室や講演会が開けなくなり、空き時間ができたのをきっかけに、自らがタブマネになろうと一念発起。滋賀県での研修やリポート提出を経て認定を受けた。

 タブマネとなって活動の認知度が高まり、これまで以上に在住外国人を手助けできるようになりそう。

 川口さんは「外国人が鳥取で安定して暮らせるような情報を伝えていきたい」と力を込めた。

 タブマネは2006年に認定制度ができ、20日時点で全国に598人、島根県には11人いる。