アルバルク東京とのチャンピオンシップ準々決勝第3戦で、3点シュートを放つ島根スサノオマジックの安藤誓哉選手(右)=15日、松江市総合体育館
アルバルク東京とのチャンピオンシップ準々決勝第3戦で、3点シュートを放つ島根スサノオマジックの安藤誓哉選手(右)=15日、松江市総合体育館

 バスケットボール漫画の『スラムダンク』では、3点シュートで猛追し、逆転勝ちした試合がいくつかある。へとへとになった登場人物が諦めず「オレにはリングしか見えねえ」とねじ込む姿に感動する▼作中、3点シュートの弊害も指摘される。3点は魅力で打ちたくなるが、確率が悪く攻撃は単調になる。名作ゆえ、そんな観念は現実の選手心理に影響したと思う▼現代バスケでは外すリスクより一挙3点の大きさに重きが置かれる。島根スサノオマジックがチャンピオンシップ(CS)準々決勝で敗れたBリーグでは、3点シュートは試投数、成功数とも急上昇。特に試投数はチーム哲学を表し、6年前のB1は1試合平均20・81本だったが、今季は25・73本に増えた▼今回のCS前、レギュラーシーズンの試投数で対戦相手を読み取ると予想しやすかった。準々決勝の相手A東京は試投数21本と失点数がリーグ最少。準決勝で対戦が予想された千葉Jは32・13本と得点数がリーグ最多。島根は28・25本の試投数、得点数とも上位で、A東京戦は対極対決、千葉J戦を飛び道具対決と見たが…▼A東京の3点シュートの積極的な試投は予想外。第3戦は島根を6本上回る34本を放ち、5本上回る14本を沈めた。第1戦に敗れ、後がないと居直った別チームのようだった。こっちの得意で挑まれ、相撲でいう「けんか四つ」で敗れただけに余計に悔しい。(板)