新型コロナウイルスの感染症法上の取り扱いが「5類」に変わってから、行楽地や飲食店に気兼ねなく行けるようになったのは良いが、発熱、喉や鼻の違和感に対しては、より敏感になった▼これまでは「症状が出れば受診」と割り切れたものの、今は、少なからず自己判断が伴う。本格的な発熱や明らかな体調の悪化ならまだしも、微熱だったり、少し喉が痛いくらいであったりする程度ならば、市販の薬を飲んで一晩は様子を見ることも現実的には選択肢の一つ。一部のコロナ治療薬を除いて生じる外来医療費の自己負担はばかにならない▼目安となる抗原検査キットや解熱剤の類いは、常備品として家庭に置いておきたい。多くの人が同じことを考えているのか、松江市内の薬局の一部では市販の解熱剤が品薄状態で、購買数に制限がかかっていた。日本の市販薬はお隣の中国でも人気。「神薬」として重宝される▼山陰両県で定点医療機関から5月22~28日の1週間に報告された感染者数は島根56人、鳥取83人。これをどう見るかは時間が必要だ。それでも、医療機関では把握していない潜在的な感染者が少なからずいることは、想像に難くない▼「ウイルスを他人へうつすかもしれない」という状況に大きな変化はない。地域社会が活気を取り戻していく中でも、コロナ禍であらためて学んだ想像力の発揮と、気遣いを忘れないようにしたい。(万)