加納佳世子名誉館長(左)から莞蕾の平和活動を教わる児童=安来市広瀬町布部、市加納美術館
加納佳世子名誉館長(左)から莞蕾の平和活動を教わる児童=安来市広瀬町布部、市加納美術館
修学旅行の体験プログラムとして提案する座禅体験=安来市清水町、清水寺
修学旅行の体験プログラムとして提案する座禅体験=安来市清水町、清水寺
加納佳世子名誉館長(左)から莞蕾の平和活動を教わる児童=安来市広瀬町布部、市加納美術館
修学旅行の体験プログラムとして提案する座禅体験=安来市清水町、清水寺

 新型コロナウイルスの影響で遠出しにくい中、安来市と市観光協会が、山陰両県の小中学校の修学旅行誘致に乗り出した。感染を警戒し、行き先を近場にする学校が増えているためだ。受け入れ実績のある市加納美術館(安来市広瀬町布部)をはじめ、寺での座禅体験やフルーツ狩りといった地域資源を生かしたプログラムを売り込む。 (渡部豪)

 コロナ禍前は関西、山陽方面が人気だったが、都会地を中心とした感染拡大を受けて県内を修学旅行先に選ぶ傾向が強まっている。

 安来市内では、フィリピンの日本人戦犯の赦免運動に尽力した地元出身の画家・加納莞(かん)蕾(らい)(1904~77年)ゆかりの市加納美術館が、平和記念公園(広島市)に代わる平和学習の場として注目され、2020年度は県内の小学校2校が修学旅行で訪れた。

 莞蕾の平和活動は21年度から中学校の社会科教科書に掲載されており、6月には県内の小学校2校と中学校1校の来館予約が既に入っている。こうした動きも踏まえ修学旅行誘致に力を入れることにした。

 受け入れ施設の収容可能人数を考慮し、誘致対象は1学年50人以下の小規模校に設定。該当する山陰両県の計359校に案内文書と紹介資料を今月中旬に郵送した。同館以外の施設や体験素材としては▽日本庭園と横山大観コレクションで知られる足立美術館▽清水寺での座禅体験▽たたら製鉄をテーマとする和鋼博物館での天秤(てんびん)鞴(ふいご)操作|などを提案した。

 市観光協会が窓口となり、関心を示す学校には、観光農園や国史跡・月山富田城跡なども載せた詳しい資料を追加送付する。コースづくりの相談にも応じ、同協会の下田千夏さんは「安来の魅力に目を向けてもらうきっかけにしたい」と期待する。