リンゴにサクランボ、メロン、モモ…。おいしい果物が食卓にあったり、いただいたりすると、とりわけうれしい。見た目も鮮やかに、旬の味を堪能したいところだが、近年は果物が原因の大人の食物アレルギーが増えているという▼5月まで本紙くらし面で連載した企画「大人の食物アレルギー」によると、主な症状は口の中や喉のかゆみや腫れ。食べ過ぎで発症するのではない。原因は、国民の約42%がかかっている花粉症だ▼花粉のアレルゲンと形の似たアレルゲンが果物に含まれていることがあり、一部の花粉症患者は、果物を食べると花粉が来たと体が勘違いして、症状が起きるという。果物ばかりではない。豆乳も同様。春の花粉症の原因として知られるカバノキ科の樹木の花粉アレルゲンと形が似たものが大豆に含まれているという▼こうなれば、花粉症にならないことが大事だ。日本は、2人に1人が何らかのアレルギーを持つ「アレルギー大国」。政府は、30年後に花粉の発生量の半減を目指すなど健康被害を抑えるための対策を、経済財政運営の指針「骨太方針」に盛り込んだ▼本紙の企画の最終回では医師の筆者が、アレルゲンを回避することも重要だが、反応しにくくなればいい、とも指摘。それには、ストレスを減らし、砂糖を控えるなど栄養状態を良くすることだそう。政府の対策と併せて、アレルギー大国から脱却したい。(衣)