開館から1年を迎えた日比谷しまね館=東京都中央区
開館から1年を迎えた日比谷しまね館=東京都中央区
開館から1年を迎えた日比谷しまね館=東京都中央区

 首都圏での島根の情報発信拠点となるアンテナショップ「日比谷しまね館」(東京都千代田区)が29日で移転から1周年を迎えた。日本橋の大手百貨店前から、ファッション専門店や劇場が近い日比谷へと店舗を移し、県が進める「美肌観光」などのターゲットとなる女性層の獲得を狙い、知名度の拡大を図る。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、開店日も限られる中で、同館はオンラインイベントなど「密」を避けたPR策を探っている。

 24日午前、約1カ月ぶりに明かりがともった日比谷しまね館では、買い物客が出雲そばや地酒など県産品を次々手に取っていた。3度目の緊急事態宣言発令を受け、入居する商業ビル「日比谷シャンテ」が休業し、4月25日から閉館していた。宣言中のため鹿児島県と共同で行う予定だった1周年記念イベントは見送った。

 アンテナショップはもともと、日本橋三越本店の向かいのビル1階で「にほんばし島根館」として2003年から20年1月末まで営業。三越から流れる利用客も多かった。移転先に選んだのは銀座駅や有楽町駅に近い日比谷エリア。宝塚劇場が近い立地を生かし、30~40代の女性層をターゲットに掲げた。

 開館と同時期に都内で新型コロナが拡大。緊急事態宣言を受けて日比谷シャンテ自体が休館し、4月下旬を予定していたオープンは1カ月延期となった。

 同館によると21年3月末までで約5万8千人(レジ通過客換算)が来館した。移転前でコロナが流行する前だった19年度の約11万4800人にはまだ及ばないが、安達昌明館長は「女性客の7割は30~40代で狙いに合った集客ができている」と話す。

 今後は感染状況をにらみながら、県内の観光関係者や生産者などと首都圏在住者らをつなぐオンラインの発信を続ける。館内で扱う加工品や産品の地元事業者を招いた実演販売の実施も検討する。

 安達館長は「まだまだ東京に島根の発信拠点があることが知られていない。オンラインとリアルの両方を組み合わせてファンを増やす」と意気込んだ。(白築昂)