東京電力福島第1原発事故が深刻度を増す度に、米原子力規制委員会(NRC)は技師や専門家を東京に順次送り込み、日米協力を通じた早期収束を試みた。そんな中、事故発生から5日目の2011年3月15日、日米間の信頼関係を根底から揺さぶる「ある事件」が起きた。それは同日午前に首相官邸であったNRC技師と日本政府高官らとの協議に端を発する。

 「(官邸を訪れた)NRC技師との会話の中で、日本側担当者はメルトダウン(炉心溶融)が起きていると認めた。しかし、この協...