国史跡・月山富田城跡(安来市広瀬町富田)を拠点にした戦国大名・尼子経久が、最近発刊された歴史小説の主人公となり脚光を浴びた。根強く愛される悲運の武将・山中鹿介とともに城跡のストーリー性を高めそうだ。城跡は昨春に整備が完了し見どころが分かりやすくなったところ。5年に1度の「戦国尼子フェスティバル」も開催を10月に控え、この好機にさらなる情報発信が期待される。 (安来支局・桝井映志)
 

月山富田城跡の急傾斜でつづら折りの登山道「七曲がり」。樹木が伐採されて視界が開け、難攻不落ぶりが分かりやすく伝わるようになった=安来市広瀬町富田

 武内涼氏の小説「謀聖 尼子経久伝」は2022年1月から23年3月にかけて完結巻の第4弾まで講談社文庫書き下ろしで発刊された。経久は挫折しながら再起して尼子氏繁栄の礎を築き、庶民に慕われた人格者として活写される。ほれ込んだ武内氏は知名度の低い経久を「全国区にしたい」との思いで書いたという。

 尼子氏ゆかりの歴史と城跡を生かす「月山富田城まちづくり委員会」の平原金造会長(安来市立歴史資料館長)は「鹿介、富田城、経久と多角的に魅力を語れるようになった」と喜ぶ。

■地元が驚いた評価


 もともと安来市広瀬町では尼子氏再興に尽くし志半ばで散った...