激しい雨が同じ場所で降り続く線状降水帯が発生した島根県東部では8日、浸水や車が流されるなどの被害が発生し、日常生活に大きな影響を与えた。
未明から雨が降り続き、8日午前9時に市内全域に避難指示が発令された出雲市。美野町では午後3時過ぎ、宍道湖に流れる伊野川に車両が転落したと110番があった。出雲署によると車両内に1人が乗車しているとみられる。
現場は時折強い雨が降り、川の流れも激しい中、警察官や市消防本部の消防士ら30人が川べりに降り、工具で川の中を探るなど懸命な捜索活動を続けた。だが大雨で二次災害の危険があるとして、午後7時半ごろ打ち切った。捜索は9日に再開する予定という。
出雲市内では主に大社町で浸水やのり面崩落が相次ぎ、避難所になった大社コミュニティセンター(出雲市大社町杵築南)の成相有一センター長は「大社でここまで浸水被害が広がるのは、知る中で初めて。10分後には道路の状況が変わった」と驚いた様子だった。
平野町の高浜コミュニティセンターには、午後3時時点で2人が避難。近所の男性に助けてもらって避難した、左半身にまひがある女性(58)=出雲市矢尾町=は「ずっと一人で怖い思いをしていた。避難できて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
松江市も島根町や鹿島町など、島根半島北部を中心に、降り始めから100ミリ以上の雨を観測し、午前8時40分に全域に避難指示を発表した。
市中心部では黒田町や春日町など各地で道路が浸水。春日町の市道では道路内で複数台の車が立ち往生し、午前中に一時通行止めになった。車が立ち往生した西法吉町の81歳男性は「前の車が通過できたので行けると思った」と振り返ったが、レッカー車を1時間以上待ち続けた。
床下浸水も市内の2軒で確認。玄関下まで水が押し寄せた比津町の女性(81)は「どうしようもない。(水が)引くのを待つだけだ」と話し、家の前の道をぼうぜんと眺めた。